左の絵は高域成分をカットして逆FFT した物です。カットしてない物とほとん ど変わりません。という事は、カットしても絵のクオリティにはほとんど影響 が無いという事です。そして当然カットしたら情報量が減ります。つまり圧縮 になるのです。
この例ではごっそりとデータをカットしましたが、さすがに実際は行ないませ ん。8×8 の係数からなる量子化テーブルを用意し、DCT処理後のブロックを量 子化テーブルの対応する成分で割り算していきます。大きな値で割れば割るほ ど情報量が削減できるので、量子化テーブルの左上の値は小さく、右下の値は 大きくなっています。復元する時は同じ量子化テーブルで掛け算をしていきま す。
ここで重要なのが、量子化テーブルにどのような値を持ってくるかです。量子 化テーブルの値しだいで画質と圧縮率が大きく変わってきます。普通は量子化 テーブルの値を変える事はせずに、量子化テーブルにユーザーが指定したパラ メータを掛けたり割ったりして、量子化テーブルの値を変えたように見せかけ ます。
このパラメータの指定方法は JPEG の規格とは関係なく、各アプリケーション 任せです。0〜100 で指定する時、値が大きいほど画質が上がるアプリケーショ ンもありますが、値が小さいほど画質が上がるアプリケーションもあります。 ここでは、ICV というツールにならって、値が大きいほど画質が上がるとしま す。
左上から順に量子化パラメータは 100, 75, 50, 25, 0 です(サンプリング比 はどれも 4:1:1です)。それぞれの絵のファイルサイズは、54371B, 11846B, 8112B, 6415B, 5538B です。無圧縮のフルカラーTIFF でのファイルサイズは 197120B ですので、圧縮率は 27.6%, 6.0%, 4.1%, 3.2%, 2.8% になります。
左の画像は量子化パラメータ 100 の画像を膨張(拡大)させたもの、右は量子
化パラメータ 0 の画像を膨張させたものです。かなり劣化してる事が分かり
ます。なお、量子化パラメータ 100 と言っても、完全に元に戻ってるわけで
はありません。微妙に劣化しています。
それから、右の画像を少し離れて見たり、目を細めたりして見ると、8×8 ドッ トの大きさでかたまりが見えると思います。それはブロック歪みと呼ばれてい る物です。