TITLE 夢としか思えない…… KEYWORDS 電脳天使,小説,ノベライズ MAIL_ADDRES tomone@kikyou.sakura.ne.jp BGcolor #FFBBEE TEXTcolor #000000 PREV_PAGE Comic-01.html PREV_PAGE_TITLE 第1話 NEXT_PAGE Comic-03.html NEXT_PAGE_TITLE 第3話 RETURN_PAGE ./ RETURN_PAGE_TITLE 戻る END キュウウゥゥゥ…… 高周波音が響く。ディスプレイがまぶしく光る。あまりのまぶしさに腕で顔を 覆う。数秒後、腕で覆われなかった部分に影が見え始める。腕をゆっくりとど けてみるとそこに美しい少女の姿が見える。半透明なその姿が段々はっきりと 見える様になると同時にディスプレイのまぶしさが消える。 「きゃっ!!!!」 浮かんでいた少女が突然倒れ落ちる。後を追って髪がふわりと下りる。 「ディスプレイから……!? …女のコが現れた!?」 さらりとした長い髪。整った美しい顔、安らかな寝顔だ。吸い寄せられる。視 界がその娘の顔でいっぱいになる。 「見とれてる場合じゃないよな……」 暫く放心状態だったが急に我に帰る。改めて眺めて みるとその服が奇妙な事に気付かされる。不思議な、さらりとした素材の布に、 セラミックとも金属ともつかない装飾具が付いている。さらにその装飾具には モリツネ文字草書体に似た文字で何かが書かれている。 「ねえ……ねえ、キミ…?」 少女を揺り起こす。女の子に不慣れな訳ではないが、美人に触れるのにはちょっ とドキドキする。 「うっ…ううん……」 「ねえ、キミ……大丈夫かい?」 少女は半分身体を起こすがまだぼ〜っとしている。 「キミは一体何者なんだ?どういう事なのか説明してよ…」 「わたし…私の名前は……フォルシーニア…フォルシーニア……フォルシーニ ア?」 ぼ〜っとした顔から困った顔になってくる。 「フォルシーニア?」 「わたし…わたし、憶えていません!!」 青ざめる少女の顔。 「もしかすると…僕がプログラムの実行途中にリセットしたのが原因かも知れ な…ん!?」 ふと PC-586 GX の方を見てみると 1番上、つまり銀色のフロッピーを入れて いたドライブが黒焦げ! 「ああ〜 まだローンの残ってる僕の 586 がぁぁぁっ!!! 」 「ごめんなさい…わたしのせい…なんですよね?」 「いいや!キミの記憶が無くなったのは…たぶん僕のせいだから……」 必死に笑顔を作る貴也。でも背中が悲しい。 「僕のほうこそ謝らないといけないよ…ごめんね!」 「アナタの…お名前は?」 「僕は貴也、英貴也っていうんだ」 「よかった……貴也さんは‘ベスティア’ではないみたい…」
「‘ベスティア’って……?」 「あっ…えっ、わかりません……」 「いったい、何の事だったかしら?でも…たぶん…素敵な事ではありません…」
「…素敵じゃない!?」 「ええ…だって貴也さんは素敵な人ですもの… そして、わたしは‘ベスティア’ ではない人を守るのが役目……」 そう言うと、フォルシーニアと名乗ったその少女は貴也の胸の身体を預けて来た。 “これは、たぶん夢だ…きっとそうだ。拾ったディスクを起動したら女のコが 現れたり…‘ベスティア’とか‘守るのが役目’とか…これは夢だ!” パニクる貴也。そうだ、普通はそうだ。でも羨ましいぞこの野郎!! #書き手は私情を挟まない様に!! “夢だったら何でもアリだもんな…どうやら、よっぽど疲れてるみたいだ……」 ゴウッ!! 空を翔ける 1体の青い巨大人型ロボット。歌舞伎役者のようなタテガミに、胸 には獅子の顔がある。 「目標まで…あと 100秒ってとこかしら?」 頭部の操縦席には14歳くらいの少女が乗っている。そのいでたちはフォルシー ニアのそれに少し似ている。 「ところでキミは…これからどうするつもりなの?」 「わたしの事はどうぞフォルと呼んでくださいな…… わたし…ここにいては 迷惑でしょうか?貴也さんを…守りたいのです」 「ボクを守るって…どうやって…?」 「お見せしましょうか?わたしの…」 「……え?」 ヒュィィイイイイ!!! ガシャアアアァァ!!! 巨大な音と振動が英荘の側から発生する。先ほどの巨大ロボットが降り立った のだ。 「ちょっと待ったぁ!!!!」 貴也とフォルは窓から顔を出して見てみる。 「なっ…何だコリャ?」 「さっ…さあ…何でしょうか?」 巨大ロボットが腰を屈め、ハッチが開く。中からどっかで見た顔が… 「姉様ぁ!!!」 「君は…新宿で会った……」 「貴也さん、あたし、エインデベルといいます!あのときはどうもありがとう」
「…姉?わたしの…こと?」 「え!?」 戸惑う少女。しかしすぐ気を取り直してコンソールを操作する。 「リア!!姉様は覚醒したわ…でも、様子が変なの…」 『待ってな、すぐ行く!!!』 ドグォン!! 今度は頭に 2本の水牛の様な角がある紫のロボットが着地した。ハッチが開く。 中にはエインデベルと同じ顔をした少女が座っている。この娘もエインデベル やフォルと同じ様な不思議な服を着ている。 「何が起きたってのサ!?」 “同じ顔が次から次へと…” もう何が何だか分からない。 「彼女はリアムローダ、あたしたちは双子で…フォル姉様の…妹です」 「わたしの…妹たち?」 ここにも困惑している者が一人…