新一×蘭  新一が元に戻った後、二人は恋人に。公園の噴水で待ち合わせ。新一は時間 通りに来たが、蘭はまだ来ない。 「すいません、道をお聞きしたいんですけど…」 蘭よりも美人な女性が新一に声をかける。 「はい、何ですか、お嬢さん」 “わS2かっこいい…あれ?この人…どっかで……” 「あの、もしかして高校生探偵の工藤新一さんですか!?」 「はい。そうですよお嬢さん B-p」 “ふっ、やっとここまで人気が戻ってきたな” 新一が消息を絶っていた期間は長かった。世間から忘れ去られたその存在がやっ と再び認知され始めていた。たとえ恋人が出来たとは言っても、女の子から人 気が無いのはつらい。 「あ、あの、あたし、前から工藤さんのファンだったんです。こんな所で工藤 さんとお会いできるなんて、とっても感激です!!」 「これはこれは、こちらこそ光栄です。私も貴方の様な奇麗な女性と会えて感 激ですよ」 言ってて恥ずかしくないか?>新一 「あ〜っもう、遅れちゃったぁ。新一待っててくれるよねぇ…!?」 待ち合わせの場所で、新一と奇麗な女性が楽しげに話している。 “もうっ、新一からデートに誘ったくせに!この節操無し!!よ〜し、イザと言 う所捕まえて、全部新一のおごりにしてやるんだから!” セコイよ蘭…とにかく蘭は気付かれないように茂みに隠れる。 「工藤さん、もし良かったら、あたしとお茶をご一緒していただけませんか?」 「貴方も何か用事があったんじゃないですか?」 「そんな、私の用事なんて工藤さんに比べたら…」 「残念ですがお嬢さん、私はちょっと人と待ち合わせをしてるんですよ」 “人ぉ〜” 「人って、まさか彼女ですか?」 「そう、貴方でなくて非常に残念ですが」 “残念〜〜!” 「その待ち合わせって何時ですか?」 「10時ですよ」 「10時って、もう 30分も過ぎてるじゃないですか。本当に来るんですか?」 「私が振られたって言いたいんですか?」 「い、いえ、そんな訳じゃ…でも、あたしなら、あたしなら新一さんを待たせ るなんて事は絶対にしません!あの、今日会ったばかりですけど、あたしはずっ と前から新一さんの事想ってきました。あたしと、付き合っていただけません か!?」 「お嬢さん、私はね。彼女をずいぶん長い間待たせてしまった。だから私は待 ちますよ、いつまでも。私が待たされる事は、彼女を待たせてしまった報いで す」 空中(そら)の一点を見つめる、鋭く、深い瞳。その瞳に吸い込まれる。もう戻 れない。彼と彼女の間には入り込めない、その事ははっきりと分かる。でも、 彼の瞳からは逃れられない。 “新一…” 蘭も新一の言葉に吸い込まれる。 「さて、もういいだろう。いい加減に出てこいよ」 新一の視線が蘭の隠れている茂みに向く。 “え?え?” 「え〜〜っ!?」 新一と目が合った蘭は驚いて立ち上がる。 「ど、どうして分かったの!?」 「簡単だよ。通行人の視線さ。周りから変な目で見られてたの気付かなかった のか?」 “………” 蘭の顔が紅潮する。 「あなた、ずっと隠れて見てたの?」 「は、はい」 「いい性格してるわね」 「え、あ、あの、これは…」 「あなた、彼の事信じてる?」 「え?」 「彼の事信じてないから隠れて見てたんでしょ」 「あ、あの、その…」 目に涙が浮かんでくる。 「あなた、彼女の資格無いんじゃない?」 「ひっ!」 「およしなさい。これ以上の言葉は貴方には似合いませんよ」 「え、だって…」 「楽しい時間(とき)をありがとう、お嬢さん。さ、蘭、行こうか」  新一は蘭の肩に手をかけて歩き出す。 「新一…ごめん、ごめんね」 「なぁに、気にするな」 「何よぉ、もう。よし、あたし絶対新一さんを彼氏にしてやるんだからぁ!!」 続く…訳ないよなぁ…