シェリーの想い 灰原が新一にたどり着く感情、新一に会うまでの感情を追究する。  拘束室で手錠に繋がれているシェリー。 “やっぱり、こうなったわね。” “この薬、アポトーシス促進剤の基礎研究だなんて、この組織がそんな犯罪に 結び付かない物を研究させてくれる筈ないわよね” と錠剤を口に入れる。 “お姉ちゃん。待っててね、今そっちに逝くわ” “ハ!ア…、苦しい…これが今まで私がやった事の報いなの?”  気がつくと様子が変。左腕に手錠の感触が無く、床の感触がある。 “私、生きてたの?どうして…”  服がダブダブ。 “こ、これは!?まさか、幼児化!?そんな…”  足音が聞こえる。 “ハ!?”  条件反射的に辺りを見回すとダストシュートが見える。そこに身を滑らせる。 無我夢中で逃げる。気がつくと雨の中、街中に立っている。 “ハハ、何やってんのよ…行く宛なんて無いじゃない。元々身寄りもないし、 あっても組織の手がまわる。それに幼児化したなんて誰も信じないし…” “これから、どうしよう…子供が一人で生きていける分けないわね。警察に保 護されて、孤児院行きね”  ショーウィンドウのガラスに映った自分の姿を見る。幼い顔、ダブダブの服。 靴の大きさが合わず、裸足になった足が冷たい。コンクリートと雨が身体を冷 やす。 「どうしろって、どうしろって言うのよ…!」 “どうして、どうして死ななかったの!?こんな姿(の)で、こんな姿(の)で生き てたってしょうがないじゃない!皆、皆死んだじゃない!!私の所為で、皆私の 薬を飲んで死んだのに、どうして私だけ死ねないの!?”  身体が崩れる。 “皆、皆死んだのに…”  急に閃いて顔を上げる。 “工藤‥新一!?彼は…死ななかった。そうよ、彼も死ななかった。幼児化した のよ。私みたいに!”  シェリーの顔がほころんでくる。 “私だけじゃなかった…私だけじゃなかった。そうよ、私だけじゃなかった! 彼も子供になったよの。彼なら、彼ならきっと理解して(わかって)くれる” “彼の住所は…米花町 2丁目21番地!!そこに行けば!?” [[C ベルを鳴らすが返事がない。 “当然よね、何処に隠れてるか知らないけど、そう滅多に自分の家に戻ってく る筈が…な…い………” ]]C  組織に追われる夢を見る。飛び起きる。 「ア…ツ…」 頭痛がする。 「ここは?」 「おぉ、気付いたかね。しかし、まだ横になっといた方がいいぞ。まだ熱は完 全に引いてはおらんのだからの」 「あなた、誰?」 「わしか?わしは阿笠ちゅうもんじゃよ。隣の家の前で君が倒れいたんで看病 しとったんじゃ」 「そう、ありがとう。私、行かなきゃ…く」 「無理せん方が良い。君は丸1日寝こんどったんじゃからな。嬢ちゃん、お家 はどこかね?」 「でも、早く行かなきゃ…工藤新一の所に…でないと」 「工藤新一?。新一の知合いか?新一なら留守じゃぞ」 「工藤新一の事知ってるの!?」 「あ、あぁ、わしの隣の家の子じゃ。しかし…」 「お願い…工藤新一の…工藤新一の所に行かせて、でないと、でないと私…」 「…まぁ、落ち着いて、訳を話してはくれんかね」 「………」 うつむく。このような重要な事を話して良いのだろうか?話したら組織にバレ るかも知れない。そもそも、信じてくれるかどうか… 「言えない…言えないわ」 「困ったのぉ」 「あなた、工藤新一の居場所知ってるの?」 「え?ま、まぁな」 “工藤新一は今幼児化して子供になってる筈。その居場所を知ってると言う事 は…” 「あなた、本当に工藤新一の居場所知ってるの?」 「も、もちろんじゃとも」 「そんな筈ないわね。だって工藤新一は幼児化して子供になってる筈だもの」 「な、なぜそれを!!」 心の中が明るくなる。 「どうやら、話しても良さそうね」 でも言い方はクール。